屈折異常というと堅苦しいですが、眼鏡やコンタクトレンズで矯正できる目のピントずれのことをいいます。近視と遠視、乱視の3種類に分けられます。屈折異常がない方(いわゆる目が良い方)を正視といいます。
いわゆる近眼のことで、現在の日本人の半分以上はこの状態です。近視の場合、近いところにはピントがあう距離があるのですが、遠くにはピントが合いませんので、遠くをはっきり見たい場合にはなんらかの矯正が必要になります。
近視は体の成長期に発症・進行しやすいのですが、近年では近視の発症年齢が低年齢化しており、小学校低学年から発症するケースも珍しくありません。
遠視というのは、正確には遠くも近くもピントが合いにくい状態です。後から発症する近視とは違い、遠視は基本的には生まれつきのものですが、軽い遠視の場合、自分の調節力で遠視のピントずれを補正してしまうことができるため、遠視があることに気付いていない人も多いです。眼精疲労を感じやすい方や、他人より老眼の進行が早いと感じている方は、遠視が隠れている可能性もありますので、一度検査にお越しください。
乱視とは、眼球の水平方向の屈折と垂直方向の屈折のズレのことです。分かりやすくイメージするなら、眼球が野球ボールのような完全な球体であれば乱視はなく、ラグビーボールのような楕円球であれば乱視があることになります。
実際には乱視がゼロという人は少なく、検査をすると多少の乱視が計測される方がほとんどですが、臨床的には軽い乱視であれば、あえて眼鏡やコンタクトレンズには乱視の度数を入れないことも多いです。
これら屈折異常の最も一般的な矯正方法は、眼鏡・コンタクトレンズです。また、裸眼で見えるようになりたい方には、レーシックやフェイキックIOL(ICL)といった手術もあります。
さらに最近では、お子さんの近視の進行予防の観点から、オルソケラトロジーを処方するケースも増えてきています。
それぞれの矯正方法には、メリット・デメリットがありますので、お気軽にお問い合わせください。
基本的に成人の屈折異常に関しては、不便であれば矯正する、というスタンスで問題ありません。(軽い近視・遠視の場合、日常生活に不便がなければ、裸眼で生活しても大丈夫です)
ただし唯一例外があり、お子さんの遠視の場合は、たとえ本人が不便を感じていなくても、眼鏡で矯正する必要があります。くわしくはこちら
人間の視力は、生後から10歳位までの感受性のある時期に、正しい視覚情報を得ることで成長していくのですが、遠視を矯正しないままこの感受性期が過ぎてしまうと、後から慌てて治療しても、視力は上がらなくなってしまうためです(弱視といいます)。