鼻涙管とは、内眼角(目頭)にある2つの小さな穴(涙点)から、骨の中を通り鼻腔内へと抜ける管で、涙が排泄されるための通り道です。ここが何らかの原因で詰まったり狭窄したりすると、涙がうまく排泄されなくなるため、常に涙目の状態になったり、泣いてもいないのにすぐに涙が溢れてくるといったこと(流涙症)が起こります。原因は加齢によるものが多いですが、生後数ヶ月のうちに発症する先天性鼻涙管閉塞もあります。
いずれの場合も、初期は涙に関する症状のみですが、悪化するとメヤニが増え、涙道内に細菌が溜まって急性涙のう炎という感染症を起こすことがあり、この場合は緊急の治療が必要となります。
鼻涙管閉塞症の治療は、涙道内視鏡手術といい、内視鏡で鼻涙管内を観察しながら、鼻涙管を広げるための涙管チューブを挿入する治療が一般的です。また、この治療でも改善しないような重症の場合は、涙嚢鼻腔吻合術というやや大掛かりな手術が必要となることもあります。